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機器センター(2ページ) 分子研リポート2010 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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研究施設の現状と将来計画 297

8-4 機器センター

機器センターは,汎用機器の維持・管理・運用と所内外の施設利用者への技術支援を主な業務としている。この他, 研究所内外の共同利用者と協力して,機器センターの機器を利用した特色ある測定装置の開発とその共同利用も行って いる。機器センターでは化学分析機器,物性測定機器,分光計測機器,液体窒素・ヘリウム等の寒剤供給装置と,大別 して4つ機器の維持・管理を行っている。また,機器センター所有の多くの機器を大学連携研究設備ネットワークに公 開しつつ,この事業の実務を担当している。機器センターにはセンター長(併任)のほかに9名の専任技術職員(化学 分析機器2名,物性測定機器2名,分光計測機器2名,寒剤装置2名,研究設備ネットワーク1名)と2名の非常勤事 務職員(機器センター1名,大学連携研究設備ネットワーク1名)が配置されている。技術職員が担当する機器は厳密 に分担が区分けされているわけではなく,大学連携研究設備ネットワークの運用システムの支援にも参加し,分子スケー ルナノサイエンスセンターの保有する 920. M H z. N M R や高分解能電子顕微鏡の維持管理にも参加している。平成19年 4月に発足した機器センターは発足後4年目を終了しようとしている。平成21年度から始まった実験棟耐震工事にとも なって,機器センターの機器も一次的な移動を余儀なくされたが,平成23年3月の工事終了とともに新たな配置を考え る時期にきている。

8-4-1 設備

山手地区には,N M R ,質量分析装置,元素分析装置,粉末X線回折装置,円二色性分光装置などの化学分析機器が 配置してある。平成20年度末に導入した生体試料用の示差走査型カロリメータおよび等温滴定型カロリメータは一年 間の所内利用期間を終了して,平成22年4月より研究設備ネットワークの予約システムを通して所外にも公開した。所 内利用が主であるが,所外からも 8 件の施設利用の申請があった。また,マトリックス支援イオン化飛行時間型質量分 析装置は購入後11年が経過しているため,制御用コンピューターの更新とレーザーの交換を行った。この他,平成21 年度末に納入された 600. M H z. N M R は研究設備ネットワークの予約システムを利用して,平成22年10月から所内公開 した。平成23年4月から所外にも公開する予定である。また,500. MHz. NMR は購入後15年を経ている。平成22年度 には総研大の予算で 400.MHz.NMR が導入されることが決まったので,保守を機器センターが担当する予定である。

明大寺地区には,E S R ,S Q U I D 磁束計,X線回折装置,熱分析装置などの汎用物性測定装置を配置している。平成 22年度は W -band. E S R の共振器の修理と E ND OR 用アンプの購入を行った。平成21年度末に導入された高感度パルス 電子スピン共鳴装置(Q- band)は平成22年10月から所内公開した。平成23年4月から所外にも公開する予定である。 特色ある測定装置の開発を目的として,平成21年度より大阪大学大学院理学研究科の中澤康浩教授を物質分子科学研 究領域の客員教授として招聘し,高磁場・極低温下における比熱測定装置の設計・製作を行っている。平成22年度に 一応の完成をみたので,中澤教授より寄稿された装置の詳細を「機器センターたより N o.3」交流欄に掲載した。平成 23年度の準備期間を利用して装置の改良を続け,平成24年4月からの公開を目指している。明大寺地区にはこれらの 物性測定装置の他に,三種のパルスレーザーシステム,波長可変ピコ秒レーザーシステム,蛍光分光装置,紫外可視近 赤外分光装置などの分光計測装置を配置している。平成22年度末にはピコ秒レーザーシステムのロッド交換等を行っ た。平成21年度末に導入した顕微ラマン装置は平成22年10月より所内公開した。平成23年4月より所外にも公開の 予定である。明大寺地区のヘリウム液化装置は修復不能の故障にともない,昨年度の予算内示を受けて更新作業が進行 している。平成22年7月17日に入札公告,8月20日に開札を行って,平成23年11月の納入を目指している。更に, 平成23年1月4日に「ヘリウム液化装置用周辺機器」仕様策定委員会を開催し,長尺ボンベ等ヘリウム液化機の周辺 装置の仕様を策定し,1月18日に入札説明会を開催した。3月22日開札の予定で,これも11月納入を目指している。

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298 研究施設の現状と将来計画

8-4-2 利用状況

機器センターは,共同利用として前期・後期に分けて年二回の施設利用を受け付けている。平成22年度の所外施設 利用件数は平成23年2月末現在で 60 件である(平成21年度は 51 件)。所外施設利用者には半期に一件あたり2泊3 日の旅費を1回支給しているが,1回で目的が達成されるような実験は非常に少ない。そのため,自費で分子研に来所 する施設利用者が多い。このような施設利用の統計を昨年に引き続き発行した「機器センターたより No..3」に掲載した。 毎年,施設利用者から送付される報告書と論文別刷りは共同利用専門委員会で回覧されるが,一般に公開されていない。 本年度より,送付された論文タイトルや雑誌名等の情報を「機器センターたより」に掲載した。

機器センターの共同利用を通して得られた成果として以下の3件を紹介する。(1)「新規自己ドープ型水素結合系有機 導体の磁性研究」この研究は早稲田大学(現在,物質・材料研究機構)の小林由佳准教授らとの共同研究によって国際 誌J. Phys. Soc. Jpn. 79, 053701 (2010) へ発表されたものである。機器センターの ESR 装置 Bruker.E680を利用して自己ドー プ型水素結合系 T T F 導体のキャリア生成の起源と電子状態およびスピンダイナミクスを多周波(高磁場)E SR 法によっ て調べたもので,自己ドーピングという新規なキャリア注入機構をこの実験で実証した。(2)「光機能性部位を有するド ナーの光誘起三重項状態研究」の研究は,大阪府立大学藤原秀起講師らとの共同研究により国際誌Chem. Lett. (in press) に発表予定のものである。機器センターの E S R 装置 B ruker. E 680 を利用して,光機能性部位を有するドナーの光誘起三 重項状態をパルス時間分解 E SR の手法によりそのスピンダイナミックスを調べたもので,導電性機能性材料の光誘起緩 和過程を世界で始めて観測することに成功した。(3)「超音速ジェット分子の波長−時間2次元分光」の施設利用は,京 都大学大学院理学研究科の馬場正昭准教授によって提案されたものを機器センターが所有しているレーザー機器を利用 して,独自の測定システムを開発して行ったものである。超音速ジェット中の孤立冷却分子を電子励起状態の単一振電 準位に励起し,そこからの蛍光強度の時間変化の励起波長依存性を正確に測定するという最高水準の分子分光研究であ り,その成果は近く論文として国際誌へ投稿される予定である。

8-4-3 今後の課題

(1).機器センターの運営委員会は,4つの研究領域から推薦された委員と機器センター職員で構成される所内委員会であ る。所所内外の施設利用者の意見をすくい上げる場として機器センターたよりの交流欄を設け,投稿をよびかけてい るが,平成22年度は所外から2件の投稿があった。この他,所内外の利用者の意見を収集するために,各機器にア ンケート箱を用意すべく準備している。今後は,機器センター運営委員に所外委員を入れることも検討する必要があ る。

(2).平成21年度より大学連携研究設備ネットワーク事務室を南実験棟一階へ移動した。実験棟耐震工事に伴ってスペー スが確保できない状況になっているため,現在使用している2部屋は機器センター事務室も兼ねている。工事が完了 する平成23年度からは機器センター事務室としてもう1部屋を確保する必要がある。これに伴い,南実験棟一階の 部屋の再配置を行う必要がある。

(3).現在,機器センターは極低温棟二階にインターネットその他が利用できる共同利用者控え室を用意している。この控 え室は極低温棟とレーザー棟にある機器を利用する施設利用者によって有効に利用されている。しかし,南実験棟に ある機器を利用する施設利用者にとって極低温棟はあまりにも離れすぎている。耐震工事終了後には,南実験棟にも 同様の共同利用者控え室を用意する必要がある。山手地区は所外施設利用者が少ないこともあって共同利用者控え室 が設置されていない。空き室はないので,部屋の再編が必要となるが,共同利用者控え室を作る努力をしなければな らない。

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